こんにちは!
今回は、試験で頻出の重要テーマ「第11次職業能力開発基本計画」について、どこが重要で、どのように出題されるかを意識しながら、優しく丁寧に解説していきます。
インフォグラフィック学習版
計画のねらい
労働者に求められる能力の急速な変化と職業人生の長期化・多様化が同時に進行する中で、企業における人材育成を支援するとともに、労働者の継続的な学びと自律的・主体的なキャリアの形成を支援する人材育成戦略として位置づけられています。
計画の背景にある3つの大きな変化
デジタル化の加速
Society 5.0の実現に向け、社会全体のDXが加速。全ての働く人にITリテラシーが求められ、IT人材の育成が急務となっています。
人生100年時代の到来
職業人生が長期化し、継続的な学び(リカレント教育)やスキルの再習得(リスキリング)が不可欠になりました。
日本型雇用慣行の変化
終身雇用が変化し、個人のキャリアは「会社任せ」から「自ら主体的に築く」ものへと大きくシフトしています。
計画を構成する4つの柱
これらの変化に対応するため、計画は4つの柱で構成されています。下のグラフにカーソルを合わせると各柱の概要が表示されます。
柱1: 産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進
Society5.0の実現やDXの加速といった社会変化に対応するため、IT人材の育成を強化し、職業訓練の現場でも新たな技術を活用していくことを目指します。
IT人材の育成強化
- 教育訓練給付制度でのIT分野講座の充実
- 公的職業訓練にIT活用スキルやITリテラシーを組込み
- 中小企業在職者向けにIT活用による生産性向上訓練を提供
新たな技術の活用推進
- オンラインによる公的職業訓練(ハロートレーニング)の普及
- ものづくり分野の職業訓練におけるAR・VR技術の導入検討
- オンラインでのキャリアコンサルティングの推進
企業・業界の人材育成強化
- 人材開発支援助成金による企業内訓練の促進
- 「生産性向上人材育成支援センター」による中小企業へのオーダーメイド型支援
- 企業におけるセルフ・キャリアドックの活用促進等によるキャリアコンサルティング推進
柱2: 労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援
労働者が自らのキャリアに責任を持ち、意欲的に学び続けられる環境を整備します。キャリアコンサルティングの推進と、学びやすい環境づくりが中心です。
キャリアコンサルティングの推進
労働者が定期的にキャリアプランを確認し、必要なスキルを把握できる機会を整備します。
- 企業への「セルフ・キャリアドック」導入支援
- 夜間・休日、オンラインでの相談しやすい環境整備
- 産業医等、関連領域の専門家とのネットワークづくり促進
- 企業課題の解決に貢献できるキャリアコンサルタントの専門性向上
自律的・主体的な学びの支援
学びに関する情報へのアクセス改善や、時間・費用の確保を支援します。
- オンラインで無料で学べる基礎的知識の動画コンテンツ提供
- 教育訓練給付制度の対象講座の充実と情報アクセスの改善
- 教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及促進
- 社内公募制など労働者の自発性を重視した配置制度の普及
柱3: 労働市場インフラの強化
労働者が円滑に転職や再就職できるよう、雇用のセーフティネットとしての公的職業訓練や、能力を客観的に証明・評価するツールなどの社会的な仕組みを整備します。
公的職業訓練の実施
雇用のセーフティネットとして、地域の産業ニーズや個人の状況に応じた多様な訓練機会を確保します。
職業能力の「見える化」
技能検定や職業能力評価基準を推進し、労働者が自身の能力を客観的に把握・証明できるようにします。
日本版O-NETの推進
職業情報を提供し、キャリア選択を支援。ホワイトカラー職種の職業能力診断ツール開発と連携を図ります。
ジョブ・カードの活用促進
生涯を通じたキャリアプランニングと職業能力証明のツールとして普及を促進。利便性向上のため、オンラインで登録・更新できるシステムの構築やマイナポータルとの連携など、デジタル化を推進します。
柱4: 全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進
誰もが希望や能力に応じて活躍できるよう、個々の特性やニーズに応じたきめ細かな支援策を講じます。下のボタンから対象者を選択して、具体的な支援内容を確認してください。
ブログ学習版
Part 1:まず全体像を掴もう!「なぜ今、この計画が重要なのか?」
この計画の期間は令和3年度から令和7年度までの5年間です。
まいまず、なぜこの計画が作られたのか、その「背景」を理解することが、内容を記憶する上でとても大切です。
押さえるべき3つの大きな変化
- デジタル化の急速な進展(DX)とSociety5.0
- 新型コロナの影響で、テレワークなど社会全体のデジタル化が一気に加速しました。AIやIoTが当たり前になる「Society5.0」という社会を見据え、IT人材の育成が急務となっています。
- 人生100年時代の到来と働き方の多様化
- 職業人生が長くなり、一つの会社で勤め上げるという考え方が変化しています。**継続的な学び(リカレント教育)**や、時代の変化に合わせたスキルの再習得(リスキリング)が不可欠になりました。
- 日本型雇用慣行の変化
- 終身雇用や年功序列といった従来の慣行が変化し、転職が当たり前になりました。個人のキャリアは**「会社任せ」から「自ら主体的に築く」**ものへと大きくシフトしています。
【試験に出るポイント!】 この計画の根底にあるのは、「労働者の継続的な学び」と「自律的・主体的なキャリア形成」を、国や企業が支援するという考え方です。このキーワードは絶対に覚えてください!
Part 2:最重要!計画の「4つの柱」を徹底解説
この計画は、大きく分けて4つの柱(方向性)で構成されています。それぞれの柱にどんな施策が含まれているかを理解することが、試験対策の核となります。
柱1:産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進
ここは「デジタル化」がキーワードです。
- IT人材の育成強化:全ての働く人にITリテラシーが必要という考え方。
- 新たな技術の活用:公的職業訓練(ハロートレーニング)でも、オンライン訓練を推進したり、ものづくり分野でAR・VR技術を活用したりします。
- 企業・業界の人材育成強化:中小企業の生産性向上のための相談支援を行う**「生産性向上人材育成支援センター」**の役割が重要です。
柱2:労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援



ここがキャリアコンサルタントとして最も重要な柱です!
- キャリアコンサルティングの推進
- セルフ・キャリアドックの導入支援:企業が従業員のキャリア開発を定期的に支援する仕組み。
- 相談しやすい環境整備:夜間・休日やオンラインでのキャリアコンサルティングを推進。
- キャリコンの専門性向上:産業医など関連領域の専門家とのネットワークづくりを促進。企業の人材育成に提案できる専門性も求められます。
- 自律的・主体的な学びの支援
- 教育訓練給付制度のIT分野講座の充実。
- 教育訓練休暇制度の普及促進。
- 社内公募制など、労働者の自発性を重視した配置制度の普及。
【キャリコンの役割はここ!】 この柱は、私たちの仕事そのものです。「セルフ・キャリアドック」「オンラインでの相談」「専門家との連携」といった具体的なキーワードと、労働者の主体性をどう引き出すか、という視点をしっかり持ちましょう。
柱3:労働市場インフラの強化



これは、労働者が円滑に転職や再就職できるための「社会的な仕組みづくり」だね。
- 公的職業訓練の実施:雇用のセーフティネットとして、地域のニーズに応じた訓練(ハロートレーニング)を実施。
- 職業能力の「見える化」
- 技能検定や認定社内検定の推進。
- 日本版O-NETとの連携:職業情報を「見える化」し、自己理解を助けるツール。
- ホワイトカラー向けの職業能力診断ツールの開発。
- ジョブ・カードの活用促進
- 生涯を通じたキャリアプランニングと職業能力証明のツール。
- デジタル化を推進し、マイナポータルとの連携も視野に入れています。
【支援ツールを覚えよう!】 「日本版O-NET」や「ジョブ・カード」は、私たちがクライエントを支援する上で欠かせないツールです。計画の中でどのように位置づけられているかを確認しましょう。
柱4:全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進
多様な立場の人々、一人ひとりに合わせた支援です。対象者別の支援内容が問われる可能性があります。
- 非正規雇用労働者:企業内でのキャリアコンサルティングや訓練機会の確保、求職者支援訓練の機会確保。
- 女性:育児と両立しやすい短時間訓練コースや託児支援サービス付き訓練の推進。
- 若者:ニート等の支援拠点である**地域若者サポートステーション(サポステ)**の機能強化。
- 中高年齢者:高齢期を見据えたキャリアの棚卸しの機会確保。
- 障害者:障害特性やニーズに応じた訓練の実施。
- 就職氷河期世代:一人ひとりの事情に応じた長期的・継続的な支援。
- 外国人労働者:日本語能力に配慮した職業訓練の実施。
Part 3:試験直前!暗記すべきキーワード一覧
最後に、選択問題などで問われやすいキーワードをまとめました。これらを見たら「第11次計画のテーマだ!」と反応できるようにしておきましょう。
- 最重要コンセプト
- 労働者の自律的・主体的なキャリア形成
- 継続的な学び(リカレント教育、リスキリング)
- 重要施策・ツール
- セルフ・キャリアドック
- ジョブ・カード(デジタル化)
- 日本版O-NET
- ハロートレーニング(公的職業訓練の愛称)
- 教育訓練給付
- 支援機関
- 生産性向上人材育成支援センター
- 地域若者サポートステーション(サポステ)
- キャリア形成サポートセンター
- 新たな動向
- オンラインでのキャリアコンサルティング・職業訓練
- ITリテラシー、DX
合格に向けて
第11次職業能力開発基本計画は、現代のキャリアコンサルティングの土台となる考え方や国の施策が詰まった、まさに「宝の山」です。
試験では、「計画の4つの柱は何か?」「セルフ・キャリアドックはどの柱に含まれるか?」「中高年齢者への支援策はどれか?」といった形で問われます。
この資料を繰り返し読んで、「社会の変化」→「計画の柱」→「具体的な施策」の流れを意識して覚えてみてください。そうすれば、知識が整理され、どんな問題にも対応できるようになります。



試験勉強、大変だと思いますが、この学びは資格取得後も必ずあなたの力になります。応援しています!





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