「令和6年度・令和7年度 年次経済財政報告」重要ポイント解説【キャリアコン試験対策】

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キャリアコンサルタント国家試験の学科試験では、労働市場や経済の動向に関する問題が頻出します。

特に、政府の公式見解である「年次経済財政報告(経済財政白書)」は、最新の動向を理解するための必須資料です。

まい

ここでは、令和6年度の報告内容を中心に、試験で問われやすいポイントと令和7年度の報告で注目される可能性のあるテーマを解説します。

目次

第1部:令和6年度 年次経済財政報告の重要ポイント

令和6年度の報告では、長年の課題であったデフレからの完全脱却と、人手不足を背景とした構造的な賃上げの実現が大きなテーマとなりました。

1. 構造的な賃上げの実現と「人への投資」

【重要ポイント】

  • 高い賃上げの実現
    2024年春季労使交渉では30年ぶりとなる高い賃上げが実現。この動きを一時的なものにせず、持続的・構造的な賃上げにつなげることが最大の課題とされています。
  • 三位一体の労働市場改革
    構造的賃上げを実現するため、政府が推進する改革です。以下の3つが柱となります。
    1. リスキリングによる能力向上支援: 労働者の自律的な学び直しを支援し、専門性を高める。
    2. 日本型の職務給の導入: 年功序列ではなく、職務内容や成果に応じた賃金体系へ移行する。
    3. 労働移動の円滑化: 成長分野へ人材がスムーズに移動できるような環境を整備する。
  • 企業の人的資本経営
    企業が従業員を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値向上につなげる経営手法の重要性が指摘されています。研修機会の提供や働きやすい環境整備などが含まれます。
キャリコンとしての視点

相談者に対して、自身の市場価値を高めるためのリスキリングの重要性を具体的に伝えたり、職務給への移行を見据えたキャリアプランニングを支援したりする場面で、この知識が役立ちます。

また、企業に対しては、人的資本経営の観点から研修制度の導入や定着支援を提案する際の根拠となります。

2. 深刻化する人手不足と労働市場の変化

【重要ポイント】

  • 人手不足の常態化
    景気回復に加え、生産年齢人口の減少により、特に中小企業や地方、エッセンシャルワーカー(医療、介護、運輸、建設など)で人手不足が深刻化しています。
  • 多様な人材の活躍推進: 女性や高齢者の労働参加がさらに重要になっています。特に「年収の壁」を意識せずに働ける環境の整備や、高齢者が意欲と能力に応じて働き続けられる「生涯現役社会」の実現が課題です。
  • 非正規雇用労働者の課題: 非正規雇用労働者の待遇改善(同一労働同一賃金など)や、本人が希望した場合に正規雇用へ転換できる機会の確保が求められています。
キャリコンとしての視点

人手不足は、求職者にとっては未経験の分野や職種に挑戦するチャンスでもあります。相談者の潜在的な能力や関心を引き出し、成長分野へのキャリアチェンジを後押しする視点が重要です。企業に対しては、多様な人材(主婦・主夫、高齢者、外国人材など)の活用や、魅力的な労働条件の整備を助言する役割が期待されます。

DX/GXの進展と求められる人材

【重要ポイント】

  • DX(デジタル・トランスフォーメーション)
    AIやIoTなどのデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや業務を変革すること。全産業でDX人材の育成・確保が急務です。
  • GX(グリーン・トランスフォーメーション)
    脱炭素社会の実現に向け、経済社会システム全体を変革すること。再生可能エネルギー関連など、新たな産業・雇用が生まれると期待されています。
キャリコンとしての視点

DXやGXは、今後のキャリアを考える上で無視できない大きなトレンドです。
文系・理系を問わず、全ての労働者に基本的なデジタルリテラシーが求められることや、環境問題への関心をキャリアに結びつける視点を相談者に提供することが重要になります

第2部:令和7年度 年次経済財政報告で注目されるテーマ

令和6年度の課題を引き継ぎつつ、以下のテーマがより重要になると予測されます。

  • 持続的な賃上げと生産性向上の一体改革:賃上げを企業の収益力向上につなげるため、中小企業の省力化投資や価格転嫁の促進、スタートアップ支援など、労働生産性をいかに向上させるかが最大の焦点になると考えられます。
  • 2025年問題と社会保障・労働力確保:団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護などの社会保障費の増大と、さらなる労働力不足が懸念されます。高齢者の健康寿命の延伸と就労支援が、より重要な政策課題となるでしょう。
  • 変化への適応力を高めるキャリア形成支援:変化の激しい時代において、個人が自律的にキャリアを構築していく必要性がさらに強調されると予測されます。全国民を対象としたキャリアコンサルティング機会の提供や、教育訓練給付金制度の拡充などが議論される可能性があります。

まとめ:試験対策のポイント

  • キーワードの理解: 「三位一体の労働市場改革」「人的資本経営」「DX/GX」などのキーワードは必ず押さえましょう。
  • 背景の理解: なぜ今、賃上げや人手不足が大きな問題になっているのか、その背景(人口減少、デフレからの転換など)を理解することが重要です。
  • 自分ごととして考える: 報告書の内容を、キャリアコンサルタントとして相談者や企業にどう伝えるか、という視点で読むと、知識が定着しやすくなります。論述や面接対策にもつながります。
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