学科試験において、労働関連法規の知識は必須です。中でも「女性活躍推進法」は、近年の法改正も相まって、超重要かつ頻出のテーマとなっています。
まいこの記事では、女性活躍推進法の基本から最新の改正点、試験で問われやすいポイントまでを網羅的に解説します。



要点をしっかり押さえて、得点源にしましょう!
女性活躍推進法とは(法の概要)


女性活躍推進法は、働く女性がその個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために制定された法律です。正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」と言います。
女性活躍推進法は、2016年4月1日に施行され、女性が働きやすい環境づくりを企業に促すことを目的としています。重要な点として、この法律は2025年度末までの10年間の時限立法であることも覚えておきましょう。



もうあと少しで終わっちゃうのか……
キャリアコンサルタントとしては、女性クライエントのキャリアプランニング支援において、この法律が定める企業の取り組みを理解し、活用できる視点を持つことが求められます。
法律の目的と背景





なぜ女性活躍推進法が必要とされたのでしょうか?その背景には、日本の社会が抱える大きな課題があります。
少子高齢化と労働力不足
生産年齢人口が減少する中で、女性の労働参加が経済成長に不可欠となっています。
固定的な性別役割分業意
出産・育児などを理由に女性がキャリアを中断せざるを得ないケースが多く、能力を活かしきれていない現状がありました。
意思決定層の多様性確保
企業の重要な意思決定の場に女性が少ないことが、多様な視点を欠き、企業の成長を妨げる一因とされていました。
これらの課題を解決し、女性が職業生活と家庭生活を両立しながら、希望に応じてキャリアを形成できる社会を目指すことが、この法律の大きな目的です。
重要用語の解説


試験対策として、以下のキーワードは必ず押さえておきましょう。
ポジティブ・アクション
単に男女間の機会を均等にするだけでなく、これまでに生じていた格差を解消するために、女性を優先的に取り扱うなどの暫定的な特別措置を指します。例えば、「管理職の女性比率を高めるために、女性を対象とした管理職育成研修を実施する」といった取り組みがこれにあたります。
一般事業主行動計画
企業が自社の女性の活躍状況を把握・分析し、それに基づいて設定した目標や取組内容をまとめた計画のことです。後述しますが、一定規模以上の企業には、この行動計画の策定・届出・公表が義務付けられています。
この計画には、以下の4つのステップがあります。
- ステップ1: 自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析
- ステップ2: 状況把握・課題分析を踏まえた行動計画の策定、社内周知、公表
- ステップ3: 行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出
- ステップ4: 取組の実施、定期的な効果測定
企業の取組義務(対象企業、行動計画策定、情報公表など)
ここが試験で最も問われやすいポイントです!企業の規模によって義務の内容が異なるため、従業員数を正確に覚えることが重要です。
| 常時雇用する労働者数 | 一般事業主行動計画の策定・届出・公表 | 自社の女性活躍に関する情報公表 |
| 101人以上 | 義務 | 義務 |
| 100人以下 | 努力義務 | 努力義務 |
【Point!】 2022年4月の法改正により、義務の対象が301人以上から101人以上の企業に拡大されました。この数字は必ず暗記してください。
状況把握の4つの必須項目
行動計画を策定する前段階として、企業は自社の状況を把握する必要があります。以下の4項目は、必ず把握・分析しなければならない「基礎項目」です。
- 採用した労働者に占める女性労働者の割合
- 男女の平均継続勤務年数の差異
- 労働者の各月ごとの平均残業時間等の状況
- 管理職に占める女性労働者の割合
情報公表とは?
企業は、自社の女性の活躍に関する状況について、求職者などが簡単に閲覧できるように情報を公表する義務があります。公表は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社のウェブサイトなどで行われます。
最新改正ポイント(2022年改正含む)
近年の法改正は試験の頻出テーマです。特に2022年の改正は大きな変更点でした。
一般事業主行動計画の策定義務対象の拡大(2022年4月〜)
前述の通り、義務の対象が常時雇用する労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大されました。
「男女の賃金の差異」の情報公表義務化(2022年7月〜)
常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、新たに**「男女の賃金の差異」**を情報公表の項目として公表することが義務化されました。これは、正規・非正規など雇用形態ごとの差異も示す必要があります。



この2点は、キャリアコンサルタントとして企業の労働環境を把握する上でも重要な視点となります。
認定制度(えるぼし認定、プラチナえるぼし認定)
女性活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良な企業は、厚生労働大臣から認定を受けることができます。この認定制度は、企業の取り組みを促進し、学生や求職者が企業を選ぶ際の指標となることを目的としています。
えるぼし認定
以下の5つの評価項目において、基準を満たした数に応じて3段階で評価されます。
- 採用
- 継続就業
- 労働時間等の働き方
- 管理職比率
- 多様なキャリアコース
- 1段階目(★1):5つのうち1つまたは2つの基準を満たす
- 2段階目(★★2):5つのうち3つまたは4つの基準を満たす
- 3段階目(★★★3):5つのすべての基準を満たす
プラチナえるぼし認定
「えるぼし認定」を受けた企業のうち、さらに高い水準の要件を満たした企業が受けられる、より上位の認定です。行動計画の目標達成や、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良であることなどが求められます。
キャリアコンサルタント試験でよく出る試験パターン
学科試験では、主に正誤問題(〇✕問題)や選択問題で出題されます。以下のポイントに注意して学習を進めましょう。
- 対象企業の従業員数:「101人以上は義務」「301人以上は男女の賃金差異の公表も義務」といった数字のひっかけ問題に注意。
- 義務と努力義務の区別:100人以下の企業は「努力義務」であることを正確に覚える。
- 認定制度の名称:えるぼし認定とプラチナえるぼし認定の名称と、その意味合いを理解しておく。
- 用語の定義:「一般事業主行動計画」や「ポジティブ・アクション」が何を指すのかを正しく説明できるか。
- 状況把握の必須項目:4つの基礎項目(採用、継続勤務、労働時間、管理職比率)を覚えておく。
まとめ
最後に、試験対策として最低限覚えておくべき最重要ポイントをまとめます。
- 法律の目的:女性が個性と能力を発揮し、仕事と家庭を両立できる社会の実現。
- 義務対象企業:常時雇用する労働者101人以上。
- 企業の義務:「状況把握・課題分析」「行動計画の策定・届出・公表」「情報公表」。
- 最新の改正点:301人以上の企業は**「男女の賃金の差異」**の公表が義務。
- 認定制度:優良企業を認定する**「えるぼし」「プラチナえるぼし」**がある。
女性活躍推進法は、単なる法律知識としてだけでなく、キャリアコンサルタントとしてクライエントの置かれた環境を理解し、より良いキャリア形成を支援するための重要なツールです。



しっかりと学習して、自信を持って試験に臨みましょう!
【参考情報】
- 厚生労働省: 女性活躍推進法特集ページ
- 女性の活躍推進企業データベース: 公式サイト
こちらの動画では、女性のキャリアコンサルティングにおける具体的な関わり方について解説されており、法律の知識を実践に結びつける上で参考になります。 キャリアコンサルティング技法解説<女性編>





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