【キャリア理論】エリクソンの発達理論をサクッと解説【試験対策】

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今回は、試験で頻出の重要人物、エリク・H・エリクソンの「心理社会的発達理論」について、特にキャリア支援の観点から重要となるポイントを網羅的に、そして優しく解説していきます。

エリック・エリクソンのキーワード

・心理社会的発達段階説
・アイデンティティ

目次

インタラクティブ学習版

エリクソンの心理社会的発達理論

人のキャリアは一生の発達段階と密接に関わっています。このガイドでは、エリクソンの理論を対話的に学び、キャリアコンサルタント試験の重要ポイントをマスターします。

心理社会的発達理論

人の発達は、個人の心(心理)と、周りの環境や社会との関わり(社会的)の中で進んでいく、という考え方です。

漸成的発達原理

心の発達は決まった順序で、前の段階の土台の上に次の段階が積み重なるように進んでいきます。植物の成長に似ています。

心理社会的危機

各発達段階で直面する心理的な課題。「危機」は「ターニングポイント」を意味し、成長の機会となります。

ライフサイクル論:8つの発達段階

人の一生を8つの段階に分け、それぞれの段階での心理的な課題を探ります。下のタブをクリックして、各段階の詳細を確認してください。

上のタブを選択して詳細を表示します。

【試験のヤマ場】青年期の深掘り

「自分とは何者か?」を問う青年期はキャリア選択の核。マーシャの理論に基づき、アイデンティティ形成の4つの状態を下の図から探りましょう。

傾倒(関与) あり
傾倒(関与) なし
危機(模索) あり
達成
モラトリアム
危機(模索) なし
早期完了
拡散

左のステータスを選択して詳細を表示します。

解説版

1.エリクソンってどんな人? なぜキャリア理論で重要?

エリクソンは、人の一生(生涯)を視野に入れた発達心理学者です。彼の理論がキャリア分野で非常に重要なのは、**「人のキャリアは、その人の一生の発達段階と密接に関わっている」**という視点を提供してくれたからです。

クライエントが今、人生のどの段階にいて、どんな心理的な課題に直面しているのかを理解することは、的確なキャリア支援の第一歩となります。エリクソンの理論は、そのための「人生の地図」のようなものだと考えてください。

2.絶対に押さえるべき!エリクソンの基本概念

まずは、理論の土台となるキーワードを3つ覚えましょう。

キーワード解説
心理社会的発達理論人の発達は、個人の心(心理)と、周りの環境や社会との関わり(社会的)の中で進んでいく、という考え方。
漸成的発達原理人の心の発達は、あらかじめ決まった順序で、前の段階の土台の上に次の段階が積み重なるように進んでいく、という考え方。植物が芽を出し、茎が伸び、葉が茂るようなイメージです。
心理社会的危機各発達段階で直面する、乗り越えるべき心理的な課題のこと。「危機」というと怖い言葉ですが、「ターニングポイント」や「分かれ道」と捉えましょう。

3.試験の最重要ポイント!「ライフサイクル論(8つの発達段階)」

エリクソンは、人の一生を8つの段階に分け、各段階に「心理社会的危機」があるとしました。この危機を肯定的に乗り越えることで、その後の人生を支える心理的な強さ(徳:Virtue)が獲得されると考えます。

特にキャリアコンサルティングでは、青年期以降の課題がクライエントの相談内容と直結することが多いため、重点的に理解しましょう。

発達段階年齢(目安)心理社会的危機(A vs B)重要な関係獲得される力(徳)キャリアコンサルティングとの関連
① 乳児期0~1.5歳基本的信頼 vs 不信母親希望人を信じる力の基礎。カウンセラーとの信頼関係(ラポール)の土台となる。
② 幼児前期1.5~3歳自律性 vs 恥・疑惑両親意思「自分でやりたい」という気持ちの芽生え。主体的なキャリア選択の原点。
③ 幼児後期3~5歳積極性(自主性) vs 罪悪感家族目的自分で目標を立てて行動する力。キャリアプランニングの基礎となる。
④ 児童期5~12歳勤勉性 vs 劣等感学校・近隣有能感「自分はできる」という感覚。自己肯定感や職業における有能感につながる。
青年期12~18歳自我同一性(アイデンティティ) vs 同一性拡散仲間忠誠【超重要】「自分とは何者か?」を問い、社会での役割を見出す時期。キャリア選択そのものが課題となる。
成人前期18~40歳親密性 vs 孤独友人・恋人他者と深く関わる時期。仕事とプライベート(結婚・家庭など)のバランスが課題になりやすい。
成人中期40~65歳世代性(生殖性) vs 停滞職場・家庭世話次の世代を育てることに関心が向かう。部下の育成、メンターとしての役割、社会貢献などがキャリアのテーマになる。
老年期65歳~統合 vs 絶望人類賢さ自分の人生を振り返り、肯定的に受け入れる時期。定年後のキャリア、生涯学習、人生の総括がテーマになる。

4.青年期の課題を深掘り!【試験のヤマ場】

青年期の「自我同一性(アイデンティティ)の確立」は、キャリア理論において核となる部分です。ここから派生するキーワードも頻出なので、必ずセットで覚えましょう。

  1. アイデンティティ (自我同一性)
    • 意味:「これが自分だ」という確信や、社会における自分の位置づけが分かっている状態。「自分は過去も現在も未来も、一貫して自分である」という感覚。
    • キャリア支援: 自己分析(興味、価値観、能力の理解)を通じて、クライエントが「自分らしい働き方・生き方」を見つける手助けをすることが、アイデンティティ確立の支援になります。
  2. モラトリアム
    • 意味: アイデンティティを確立するために、社会的な責任や義務を一時的に免除され、自分探しをすることが許される期間のこと。
    • 例: 大学生の期間、就職浪人、自分探しのための転職活動期間など。
    • キャリア支援: クライエントの迷いを「優柔不断」と捉えるのではなく、**「自分を見つけるための大切な時間(モラトリアム)」**と捉え、焦らず自己探索できるよう支援する視点が重要です。
  3. アイデンティティ・ステータス(ジェームズ・マーシャ)エリクソンの理論を発展させたマーシャは、青年がアイデンティティを形成する過程を4つの状態(ステータス)に分類しました。これもエリクソンとセットで出題されやすいです。
ステータス危機(模索)傾倒(関与)特徴キャリアの例
達成ありあり自分で悩み、模索した末に、自分の進路を決定している状態。(最も望ましい)色々調べたり悩んだりした結果、「自分は人を助ける仕事がしたいから、看護師になる」と決めた。
モラトリアムありなし現在、まさに悩んでいる最中で、まだ進路を決められていない状態。「公務員もいいし、IT企業も気になる…」と悩み、色々な業界のインターンに参加している。
早期完了なしあり自分で十分に悩むことなく、親や他人の価値観で進路を決めてしまっている状態。親に「医者になりなさい」と言われ、特に疑問も持たずに医学部を目指している。
拡散なしなし進路について特に考えておらず、決めようともしていない状態。無気力に見えることも。「将来のことは特に考えていない」「何となくフリーターでいいかな」と思っている。

キャリアコンサルタントは、クライエントが今どのステータスにいるのかを見立て、**「拡散」や「早期完了」から「モラトリアム」へ、そして最終的に「達成」**へと至るプロセスを支援します。

5.まとめ:試験で問われるエリクソンの核心

  • 視点: 人のキャリアを**生涯発達(ライフサイクル)**の観点から捉える。
  • 8段階: 各年代に特有の心理社会的危機があることを理解する。
  • 青年期: アイデンティティ vs 同一性拡散がキャリア選択の核。モラトリアムという概念の理解が必須。
  • 成人期: **世代性(Generativity)**は、ミドルシニア層のキャリア支援(部下育成、役割の転換など)で重要なキーワード。
  • 応用: マーシャのアイデンティティ・ステータスと関連付けて、クライエントの状態をアセスメントする。

エリクソンの理論は、特定の技法(テクニック)というより、**クライエントを深く理解するための「視点」や「考え方の枠組み」**を与えてくれるものです。この地図を頭に入れて、クライエントが人生のどの地点で、何に悩んでいるのかを考えられるようになれば、支援の質が格段に向上します。

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