【キャリコン試験対策】A.G.ワッツのキャリアガイダンスの4つのイデオロギーをサクッと解説

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A.G.ワッツは、キャリアガイダンスが社会の中で果たす役割や目的は一つではなく、その背後には異なる政治的・社会的な思想(イデオロギー)が存在すると考えました。彼はそれを4つに分類し、キャリア支援の多様な側面を明らかにしました。

この理論を理解することで、「なぜ、今この支援をするのか?」という自分の立ち位置を客観的に見つめ直すことができます。

目次

4つのイデオロギーの全体像

ワッツの理論とは?

A.G.ワッツは、キャリアガイダンスが社会で果たす役割や目的は一つではなく、その背後には異なる政治的・社会的な思想(イデオロギー)が存在すると考えました。この理論を理解することで、「なぜ、今この支援をするのか?」という自分の立ち位置を客観的に見つめ直すことができます。

4つのイデオロギーの全体像

変革
(Change)
現状維持
(Status Quo)

社会に焦点

ラディカル

(Radical)


社会変革

コンサバティブ

(Conservative)


人材の適正配置

社会統制

個人に焦点

プログレッシブ

(Progressive)


個人の自己開発

(個人的変化)
リベラル

(Liberal)


個人の自己開発

(非指示的支援)

各イデオロギーの詳細

1. 人材の適正配置

“経済成長のためのパズルのピース探し”

パーソンズの特性因子理論が原点。個人を客観的に分析し、最も生産性が高まる仕事に配置することで、経済全体を効率化させようという考え方です。

目的: 経済の効率化、労働力の最適化
スタンス: 産業界や政府の視点に立ち、国全体の生産性を上げることを重視します。
キーワード:経済効率生産性マッチング
例: 景気対策としての雇用対策、理工系人材の育成プログラムなど。

2. 社会変革

“不平等な社会構造を変えるための武器”

社会に存在する不平等や差別をなくすための手段。特定の集団がキャリアを築く上で直面する「社会構造の問題」に焦点を当てます。

目的: 社会正義の実現、機会の均等
スタンス: 抑圧されている人々に寄り添い、彼ら・彼女らが能力を発揮できる社会を目指します。
キーワード:社会的公正差別エンパワーメント
例: 女性の管理職登用を増やすためのキャリア研修、障がい者雇用の推進など。

3. 個人の自己開発

“個人の幸せと自己実現の旅のサポート”

ロジャーズのクライエント中心療法の影響を強く受けた、現代のキャリアカウンセリングの主流となる考え方。個人の自己実現や幸福を最も重視します。

目的: 個人の自己実現、幸福なキャリア人生の追求
スタンス: クライエントの主体性を尊重し、その人らしい意思決定ができるように支援します。
キーワード:自己理解キャリア自律自己実現
ポイント: このイデオロギーだけが絶対的に正しいわけではなく、他の視点も必要です。

4. 社会統制

“社会の安定を保つためのガス抜き”

キャリアガイダンスが社会の秩序を維持するために利用されるという批判的な見方。失業者などを管理・統制する手段として機能する側面を指摘しています。

目的: 社会秩序の維持、失業問題の管理
スタンス: 個人の希望よりも社会的に受容可能な範囲へと誘導。「クーリング・アウト(冷却)」の役割も担います。
キーワード:社会秩序統制管理
例: 相談者の希望を無視し、「現実的にはこの仕事しかない」と誘導するような支援。

まとめ:なぜこの理論が重要か?

実際のキャリアコンサルティングの現場では、これら4つのイデオロギーが複雑に絡み合っています。例えば、ハローワークの相談員は、求職者個人の自己実現を願い(個人の自己開発)、同時に、国の失業率を下げて経済を安定させるという役割も担っています(人材の適正配置社会統制)。

試験では、「この事例における支援は、ワッツの言うどのイデオロギーの側面が強いか?」といった形で、あなたの分析力が問われます。それぞれのイデオロギーの特徴とキーワードをしっかり覚えて、事例問題を読み解く視点として活用してください。

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