【キャリアコンサルタント試験対策】人材開発支援助成金まるわかりガイド

１．人材開発支援助成金とは？【基本のキ】

• 目的: 企業（事業主）が、雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための**職業訓練（研修）**などを計画的に実施した場合に、その経費や訓練期間中の賃金の一部を国が助成する制度です。
• 対象: 雇用保険の適用事業所の事業主です。
• 超重要ポイント: この助成金をもらうのは、訓練を受ける労働者本人ではなく、訓練を実施する「事業主（会社）」です。

２．試験で重要な主要コース

コース名	目的と特徴
人材育成支援コース	最も基本的なコース。職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練（Off-JT）が対象。
人への投資促進コース	国民の関心が高い高度デジタル人材の育成や、サブスクリプション型の研修サービスなどが対象。
教育訓練休暇等付与コース	労働者が自発的に教育訓練を受けるための休暇制度（有給）を導入し、実際に労働者が休暇を取得した場合に事業主を支援。
事業展開等リスキリング支援コース	新規事業の立ち上げなど、事業展開に伴って従業員に新たな知識やスキルを習得（リスキリング）させる訓練を支援。

学習のヒント: 「どんな目的の訓練か」で、どのコースが該当するかを整理すると覚えやすくなります。

３．【最重要】試験の「ここが危ない！」間違えやすいポイント7選

ここが一番の得点源です。選択肢の正誤判断で迷うポイントを徹底解説します。

① 「OJT」は原則対象外！

• 原則: 助成金の対象となるのは、通常の業務を離れて行う**「Off-JT」**です。
• 例外: 日常業務の中で行う「OJT」は、単体では助成対象になりません。ただし、「認定実習併用職業訓練」のように、Off-JTとOJTを効果的に組み合わせて実施する訓練として厚生労働大臣の認定を受けた場合は、OJT部分も助成対象になります。
• 試験の罠: 「OJTも助成金の対象となる」という選択肢は、基本的に誤りと判断してOKです。（「～場合に限り」などの注釈があれば別）

② 「訓練時間」の要件がある！

• 助成対象となるOff-JTは、訓練時間数が10時間以上（コースにより20時間以上の場合も）であることが必要です。
• 試験の罠: 「1時間の研修でも対象となる」といった選択肢は誤りです。

③ 助成率は「中小企業」か「大企業」かで違う！

• 多くの雇用関係助成金と同様に、人材開発支援助成金も中小企業の方が助成率・助成額において優遇されています。
• 試験の罠: 「企業の規模にかかわらず、助成率は一律である」という選択肢は誤りです。

④ 「手続きの順番」を間違えたらもらえない！

• 助成金を受給するためには、必ず訓練を開始する1か月前までに、管轄の労働局へ**「訓練実施計画届」**を提出する必要があります。
• 試験の罠: 「訓練終了後に申請すればよい」は典型的な誤りの選択肢です。「計画の提出が先！」と覚えましょう。

⑤ 対象とならない「訓練内容」を理解する！

以下の訓練は助成対象外です。

• 趣味・教養を目的とするもの（例：ペン字講座、話し方教室など）
• 職業人として共通して必要となるもの（例：ビジネスマナー、PCの基本操作など）
• 法律で実施が義務付けられている訓練（例：安全衛生法に基づく特別教育など）

⑥ 「キャリアアップ助成金」と混同しない！

• 人材開発支援助成金: 主に正社員（正規雇用労働者）の能力開発を支援。
• キャリアアップ助成金: 主に非正規雇用労働者のキャリアアップ（正社員化、処遇改善など）を支援。
• 試験の罠: それぞれの目的と対象者を入れ替えた選択肢に注意してください。

⑦ 「職業能力開発推進者」の選任が必要！

• この助成金を利用する事業主は、社内の職業能力開発の取り組みを推進する**「職業能力開発推進者」を選任し、「事業内職業能力開発計画」**を策定・周知している必要があります。
• 試験の罠: これらの前提条件が不要であるかのような選択肢は誤りです。

４．学習のまとめ

• 誰が？ → 事業主（会社）が
• 何のために？ → 雇用する労働者の職務に関連した訓練（原則Off-JT）を実施するため
• いくら？ → 中小企業が優遇される
• どうやって？ → 訓練開始前に計画届を提出する
• 条件は？ → 訓練時間10時間以上、推進者の選任などが必要