【キャリア理論】ベックの認知療法をサクッと理解

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チャチャ

○○療法っていろいろあって混乱してきた。認知療法は認知のキーポイントってことはわかるけど……

国家資格キャリアコンサルタント試験の勉強、お疲れ様です! カウンセリング理論は覚えることが多くて大変ですよね。中でも、現代のカウンセリングに大きな影響を与えたアーロン・ベックの「認知療法」は、学科試験でも面接試験でも非常に重要な理論です。

「相談者の悩みの裏には、特有の“考え方のクセ”があるのかもしれない」

この視点は、キャリアコンサルタントとして活動する上で強力な武器になります。

まい

今回は、試験に出やすいポイントに絞って、ベックの理論を世界一やさしく解説します!

アーロン・ベックのキーワード

・認知療法
・自動思考
・スキーマ
・認知のゆがみ

目次

インフォグラフィック版

基本の考え方:「出来事」と「感情」のつながり

同じ出来事が起きても、それをどう捉えるか(認知)によって、生まれる感情は大きく変わります。下の例で体験してみましょう。

【状況】上司から資料の修正を指示された

あなたの考え(認知)を選んでください

ここに考えと感情が表示されます

試験の最重要ポイント!「認知の歪み」10パターン

キャリア相談での具体例

なぜネガティブに?認知の階層構造

スキーマ(中核信念)

「私は無価値だ」

介在信念

「失敗は許されない」

状況

仕事でミスをした

自動思考

「なんて自分はダメなんだ!もう終わりだ」

感情・行動

絶望、不安 → 会社を休む

まとめ:これだけは押さえて試験に臨もう!

認知の歪みを覚える

10個のパターンと具体例をセットでマスターしましょう。

認知の流れを理解する

「出来事→認知→感情」の視点で相談者の話を聴くことが大切です。

思考の階層を掴む

「自動思考」の奥にある「スキーマ」をイメージできるようになりましょう。

まずは基本!アーロン・ベックってどんな人?

アーロン・ベックは、アメリカの精神科医で「認知療法(Cognitive Therapy)」の創始者です。

もともとは精神分析を専門としていましたが、うつ病の患者さんたちと接する中で、彼らが非常に悲観的で否定的な考え方をする傾向があることに気づきました。そして、「そ考え方(認知にアプローチすることで、気分や行動も変えられるのではないか?」と考えたのが、認知療法の始まりです。

まい

ポイントは、「出来事が感情を直接引き起こすのではなく、その出来事をどう捉えるか(認知)が感情を生む」という考え方です。

(例)上司から資料の修正を指示された

  • Aさんの考え(認知):「自分の説明不足を補ってくれた。次はもっと分かりやすく作ろう」→ 感情:前向き
  • Bさんの考え(認知):「なんて自分は仕事ができないんだ。きっと呆れられている」→ 感情:落ち込み、不安
チャチャ

同じ出来事でも、捉え方次第で感情が全く変わってくるね

試験の最重要ポイント!「認知の歪み」10パターン

ベックは、特にストレスを感じている時に陥りがちな、非合理的で極端な考え方のパターンを**「認知の歪み(Cognitive Distortions)」**と名付けました。これは試験で最も狙われやすい部分なので、具体例と一緒にしっかり覚えましょう!

認知の歪み説明具体例(キャリア相談場面)
1. 全か無か思考(白黒思考)物事を0か100か、白か黒かで判断する。「完璧でなければ価値がない」という思考。「第一志望の企業に落ちた。もう私の転職活動は完全に失敗だ」
2. 過度の一般化たった一度や二度の良くない出来事を根拠に、「いつもこうだ」「今後もずっとこうだ」と結論づける。「今回の面接で失敗した。私は面接が苦手だから、もう二度と受からないだろう」
3. 心のフィルター(選択的抽出)ポジティブな側面を無視して、ネガティブな側面にばかり意識を向けてしまう。面接官に褒められた部分は記憶に残らず、一つだけ厳しく質問されたことばかりを思い出して落ち込む。
4. マイナス化思考良い出来事が起きても「これはまぐれだ」「たいしたことじゃない」と過小評価し、肯定的に受け取れない。企画が採用されても、「今回は運が良かっただけ。自分の実力じゃない」と考える。
5. 結論の飛躍根拠がないまま、悲観的な結論に飛びついてしまう。特に以下の2つがある。 ・**心の読みすぎ:**相手の心をネガティブに決めつける。 ・**先読みの誤り:**未来を悲観的に予測する。・「面接官が腕を組んでいた。私の経歴に興味がないに違いない」 ・「どうせ次の面接も失敗するに決まっている」
6. 拡大解釈と過小評価自分の失敗や短所は大きく捉え、成功や長所は小さく評価してしまう。「プレゼンで少し言い間違えた。大失敗だ」と大騒ぎする一方で、プロジェクトを成功させたことは「誰でもできること」と評価しない。
7. 感情的決めつけ「こう感じるのだから、それは事実に違いない」と、自分の感情を根拠に物事を判断する。「こんなに不安なのだから、この転職はきっとうまくいかないに違いない」
8. ~すべき思考「~すべきだ」「~ねばならない」という厳しいルールで自分や他人を縛り、それができないと罪悪感を感じる。「30歳までにはリーダーになるべきだったのに、自分はダメだ」
9. レッテル貼り一つの側面だけを見て、「私は〇〇な人間だ」と自分や他人に否定的なレッテルを貼る。昇進試験に一度落ちただけで、「私は無能な人間だ」と決めつける。
10. 個人化(自己関連づけ)自分に責任のない悪い出来事まで、自分のせいだと考えてしまう。会社の業績が悪化したのは、「自分の営業成績が足りないせいだ」と思い詰める。

なぜネガティブに?「自動思考」と「スキーマ」

では、なぜ「認知の歪み」は生まれるのでしょうか。ベックは、人の認知を階層構造で捉えました。

  1. 自動思考 (Automatic Thoughts) ある出来事に遭遇したときに、瞬間的に頭に浮かぶ考えやイメージのことです。これは意図せず自動的に湧き上がってきます。上記の「認知の歪み」は、この自動思考の中に含まれていることが多いです。
    • 例:面接でうまく話せなかった → (自動思考)「ああ、またダメだった。自分は本当に口下手だ」
  2. スキーマ (Schema) 自動思考のさらに奥深くにある、その人の中核的な信念や価値観、人生観のことです。「中核信念(コア・ビリーフ)」とも呼ばれます。幼少期の経験などから形成され、物事の捉え方の土台となっています。
    • 例:「私は人より劣っている」「私は誰からも認められない」といったスキーマ。

このスキーマが、ネガティブな自動思考を生み出す温床になっている、とベックは考えました。

【認知の階層】 スキーマ(私は無価値だ)  ↓ (介在信念:失敗は許されない)  ↓ 状況:仕事でミスをした  ↓ 自動思考(なんて自分はダメなんだ!もう終わりだ)  ↓ 感情(絶望、不安)、行動(会社を休む)

まとめ:これだけは押さえて試験に臨もう!

最後に、キャリアコンサルタント試験対策として、ベックの理論で押さえるべきポイントをまとめます。

  • 最重要は「認知の歪み」。 10個のパターンと、それに当てはまる具体例をセットで覚える。
  • 「出来事→認知→感情」の流れを理解する。相談者の感情の裏にある「認知(捉え方)」に目を向ける視点が大切。
  • 「自動思考」と「スキーマ」の関係性を理解する。相談者の表面的な悩み(自動思考)の奥にある、根本的な思い込み(スキーマ)をイメージできるようになる。

ベックの理論を学ぶことは、クライエント理解を深める上で非常に役立ちます。まずは学科試験対策として知識を固め、ゆくゆくは面接でもこの視点を活かせるように、学習を進めてみてください。

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