【キャリア理論】ブルースティンの社会正義論をサクッと解説

国家資格キャリアコンサルタント試験の学科試験では、様々なキャリア理論が出題されます。中でも、近年の社会情勢を反映し、重要度を増しているのがブルースティン（Blustein, D. L.）の理論です。

ここでは、試験対策として絶対に押さえておきたいブルースティンの理論の核心を、3つのキーワードで解説します。

概要

解説

キーワード１：働くことの心理学（Psychology of Working）

ブルースティンは、従来のキャリア理論が「キャリア選択の自由がある人々」を中心に展開されてきたことを批判しました。そして、貧困や差別など、様々な制約の中で「生きるために働かざるを得ない人々」も含めた、すべての人にとっての「働くこと」の意味を考えるべきだと提唱しました。これが「働くことの心理学」の基本的な考え方です。

【試験対策ポイント】

• 対象者： 従来の理論 ⇒ 選択の自由がある人
• ブルースティン： 選択の自由の有無にかかわらずすべての人

この対比をしっかり覚えておきましょう。「マージナライズされた（社会的に疎外された）人々」への視点も重要です。

キーワード２：３つの基本的ニード

ブルースティンは、人は働くことを通じて、以下の３つの基本的なニード（欲求）を満たすと主張しました。

ニードの種類	内容	試験で問われるポイント
① 生存と権力へのニード	生きていくためのお金や安全を確保したいという欲求。	最も基本的な欲求。経済的な側面に注目。
② 社会的つながりへのニード	他者と関わり、認められ、どこかに所属したいという欲求。	**「関係性（リレーションシップ）」**という言葉で表現されることも。ブルースティンが特に重視した点。
③ 自己決定へのニード	自分のことは自分で決めたい、主体的に行動したいという欲求。	**「主体性（エージェンシー）」**や自律性とも関連。

【試験対策ポイント】

• この３つのニードは頻出です。特に**「社会的つながり（関係性）」**は、ブルースティン理論の中核をなす概念として、必ず暗記してください。
• 「働くことは単に金銭を得るためだけではない」という考え方の根拠となる部分です。

キーワード３：社会正義（ソーシャルジャスティス）とディーセント・ワーク

ブルースティンの理論の最終的なゴールは、社会正義の実現です。

キャリアコンサルタントは、個人のキャリア支援に留まらず、すべての人が人間らしい働き方、すなわち**「ディーセント・ワーク」**を実現できる社会を目指すべきだと考えます。

● ディーセント・ワークとは？

ILO（国際労働機関）が提唱する概念で、以下のような特徴を持つ「働きがいのある人間らしい仕事」を指します。

• 公正な収入
• 安全な職場環境
• 社会保障
• 自己の成長や社会への貢献を実感できる

【試験対策ポイント】

• キャリアコンサルタントの役割として**「クライエント個人の支援」に加えて「社会への働きかけ（アドボカシー）」**が重要である、という文脈で出題されやすいです。
• ブルースティンの理論は、キャリア支援と**「社会正義」「ディーセント・ワーク」**を結びつけた点が画期的であると理解しておきましょう。

まとめ：試験でこう出る！

ブルースティンについて問われたら、以下の３点を思い出してください。

1. 《誰のために？》 ⇒ キャリア選択の自由がない人も含めた**「すべての人」**のため。
2. 《働く目的は？》 ⇒ **「生存」「社会的つながり」「自己決定」**の３つのニードを満たすため。
3. 《支援者の役割は？》 ⇒ 個人の支援に加え、**「社会正義」や「ディーセント・ワーク」**の実現を目指し社会に働きかけること。

このフレームワークで覚えておけば、選択肢問題で迷うことは少なくなるはずです。頑張ってください！