チャチャ論理療法っていったいなんなんだ……



つらい幼少期を過ごしたエリス先生。しかしそれを逆境に立ち向かうためにきっかけとし、定昇したのが論理療法だよ。
今回はアルバート・エリスの「論理療法(Rational Emotive Behavior Therapy: REBT)」について、特に試験で問われやすいポイントを分かりやすく解説します。
・ラショナル・ビリーフ
・イラショナル・ビリーフ
・ABC(DE)理論
インフォグラフィック版
【必須】ABC理論:悩みのメカニズム
悩みは「A→C」ではなく、「A→B→C」の順で生まれます。下のボタンで確認してみましょう。
Activating event
出来事(上司に叱られた)
Belief
信念(自分はダメな人間だ)
Consequence
結果(ひどく落ち込む)
【必須】イラショナル vs ラショナル・ビリーフ
あなたの「信念(B)」はどちらのタイプ? トグルで感情の結果(C)がどう変わるか見てみましょう。
イラショナル・ビリーフ (非合理的信念)
「〜ねばならない」「絶対に〜すべきだ」という非現実的で硬直した考え方。
例:面接不合格(A)に対して…
- 「絶対に合格しなければならなかったのに、自分は無能だ」
- 「もう二度とチャンスはないだろう」
感情と行動の結果(C)
イラショナル・ビリーフの3つの「〜ねばならない」
私は絶対に成功しなければならない。失敗するなんてありえない。
【必須】ABCDE理論:信念への介入
カウンセラーは「D」と「E」を用いて、クライエントのイラショナル・ビリーフに働きかけます。
ステップ 1 / 5
A: 出来事 (Activating Event)
客観的な事実。例えば、「大事なプレゼンで失敗した」。
B: 非合理的信念 (Irrational Belief)
「絶対に成功すべきだった。失敗した私は価値がない人間だ」という硬直した考え方。
C: 結果 (Consequence)
強い自己嫌悪に陥り、次の仕事への意欲を完全に失ってしまう。
D: 論駁 (Dispute)
カウンセラーが信念に疑問を投げかける。「失敗したら価値がないという証拠は?」「その考えはあなたの成長に役立ちますか?」
E: 効果 (Effect)
「失敗は残念だが、それで自分の価値は決まらない。この経験を次に活かそう」という合理的信念を獲得し、前向きな気持ちを取り戻す。
キャリアコンサルティングへの応用と試験のポイント
試験で問われやすい重要ポイントをまとめました。
「〜べき」「〜ねばならない」に注意
クライエントがこれらの言葉を使う時、それはイラショナル・ビリーフのサインかもしれません。深く耳を傾けましょう。
無条件の自己受容
エリスは、失敗や欠点も含めて自分をありのままに受け入れる「無条件の自己受容」を重視しました。クライエントの自己受容を支援することが重要です。
教育的なアプローチ
論理療法は、クライエント自身がABCDE理論を学び、セルフヘルプができるようになることを目指す、教育的な側面が強いアプローチです。
有効な適用場面
就職活動での過度な不安や、キャリアチェンジへの恐怖など、非合理的な思い込みが行動を妨げている場合に特に有効です。
ブログ版
1. エリス理論の最大のポイント:「悩みは出来事のせいではない」
まず、エリスの理論の根幹をなす考え方を理解しましょう。それは、**「私たちを悩ませるのは、出来事(A)そのものではなく、その出来事をどう捉えるかという信念(B)である」**というものです。
多くの人は、「上司に叱られた(A)から、落ち込んだ(C)」と考えがちです。しかしエリスは、これは間違いだと言います。実際には、「上司に叱られた(A)」という出来事に対して、「自分はダメな人間だ、もう終わりだ(B)」という**非合理的な信念(イラショナル・ビリーフ)**を持つからこそ、「ひどく落ち込む(C)」という結果が生まれる、と考えたのです。
このメカニズムを説明するのが、有名なABC理論です。
2.【必須】ABC理論:悩みのメカニズムを解き明かす
ABC理論は、論理療法の基本中の基本です。アルファベットの意味をしっかり覚えましょう。
- A (Activating event):出来事
- 何か感情が動かされるような、客観的な事実や出来事。
- 例:キャリア相談で、クライエントが「面接で不合格になった」と話す。
- B (Belief):信念、思い込み、受け取り方
- その出来事(A)をどのように解釈し、評価したかという、その人独自の考え方。
- ここがラショナル・ビリーフかイラショナル・ビリーフかの分かれ道になります。
- C (Consequence):結果
- 信念(B)によって引き起こされた、感情的・行動的な結果。
- 例:ひどい抑うつ、不安、怒り、自己嫌悪、行動の回避など。
【重要ポイント】
試験では、「AがCを直接引き起こす」といった選択肢が誤りとして出題される可能性があります。「BがCを引き起こす」という関係性を正確に覚えてください。
3.【必須】イラショナル・ビリーフとラショナル・ビリーフ
ABC理論の「B(信念)」には、2つの種類があります。この違いを理解することが、カウンセリングの鍵となります。
イラショナル・ビリーフ(Irrational Belief):非合理的信念
「〜ねばならない」「〜すべきだ」「絶対に〜でなければならない」といった、非現実的で、論理的でなく、柔軟性に欠ける考え方です。これを持つと、自己嫌悪や過度な不安など、不健康な感情(C)につながります。
イラショナル・ビリーフの3つの「〜ねばならない」
- 自己への要求:「私は絶対に成功しなければならない。失敗するなんてありえない」
- 他者への要求:「他人は私を公平に扱ってくれるべきだ」
- 世界(状況)への要求:「私の人生は、常に快適でなければならない」
キャリア相談の例:
- A:面接で不合格になった
- B(イラショナル):
- 「絶対に合格しなければならなかったのに、なんて自分は無能なんだ」
- 「面接に落ちるなんて最悪だ。もう二度とチャンスはないだろう」
- C:強い抑うつ、次の面接へ行く意欲を失う、自己嫌悪
ラショナル・ビリーフ(Rational Belief):合理的信念
「〜であることが望ましい」「〜できたら嬉しいな」といった、現実的で、論理的で、柔軟な考え方です。これを持つことで、たとえネガティブな出来事が起きても、健全な感情(C)で対応することができます。
キャリア相談の例:
- A:面接で不合格になった
- B(ラショナル):
- 「合格できたら嬉しかったけど、残念だ。でも、落ちたからといって自分の価値がなくなるわけじゃない」
- 「今回の経験から学んで、次に活かそう。またチャンスはあるはずだ」
- C:残念な気持ちはあるが、前向きな意欲は維持できている、次への準備を始める
4.【必須】ABCDE理論:イラショナル・ビリーフへの対処法
カウンセリングの実践では、ABC理論を拡張したABCDE理論が用いられます。DとEがカウンセラーの介入部分です。
- D (Dispute):論駁(ろんばく)
- クライエントが持つイラショナル・ビリーフ(B)に対して、カウンセラーが「それは本当に正しいのか?」と論理的に反論し、疑問を投げかけるプロセスです。
- 論駁の問いかけ例:
- 「『絶対に合格しなければならない』という考え方の証拠はありますか?」
- 「不合格だったからといって、『もう二度とチャンスがない』と考えるのは現実的でしょうか?」
- 「そのように考えることは、あなたの目標達成に役立ちますか?」
- E (Effect):効果
- 論駁(D)によってイラショナル・ビリーフが揺らぎ、より柔軟で現実的なラショナル・ビリーフを獲得した状態のこと。
- これにより、不健康な感情や行動が、より健全なものへと変化します。これがカウンセリングのゴールです。
5. キャリアコンサルティングへの応用と試験のポイント
- クライエントの「〜べきだ」「〜ねばならない」という言葉に注意する。
- これらはイラショナル・ビリーフのサインです。
- 自己受容の重要性
- エリスは、無条件の自己受容(自分をありのままに受け入れること)を重視しました。クライエントが失敗や欠点を含めて自分を受け入れられるよう支援することが大切です。
- 教育的なアプローチ
- 論理療法は、クライエントにABCDE理論を教え、セルフヘルプができるようになることを目指す「教育的」な側面が強いカウンセリング理論です。
- 適用場面
- 就職活動での過度な不安、職場での対人関係の悩み、キャリアチェンジへの恐怖など、クライエントの非合理的な思い込みが行動を妨げている場合に非常に有効です。
まとめ
エリスの論理療法は、「出来事(A)→ 信念(B)→ 結果(C)」という流れを理解し、クライエントの**イラショナル・ビリーフ(B)に介入(D)することで、より良い結果(E)**に導くアプローチです。この基本構造と各用語の意味をしっかり押さえて、試験に備えましょう!






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