
ギンズバーグ先生ってなにした人なの?



ギンズバーグは、職業選択は長井年月を通しての発達プロセスであると最初に理論化した先生だよ
エリ・ギンズバーグ(Eli Ginzberg)は、人の職業選択は単一の時点で行われるのではなく、長期間にわたる「発達的なプロセス」であると提唱した最初の研究者の一人です。彼の理論は、キャリアカウンセリングの分野に大きな影響を与えました。
当初1951年に発表された理論は、その後の継続的な研究や批判を受けて、1972年に大幅に修正されました。ここでは、初期理論の概要と、修正された3つの重要な命題について、変更点を明確にしながら解説します。
職業発達の3段階





ギンズバーグは、職業選択のプロセスを、子ども時代から青年期後期にかけての3つの主要な段階に分けました。
① 空想期 (Fantasy Period)
11歳頃まで
子どもの空想や遊びが中心となる段階です。自分の能力や現実的な可能性を考慮せず、「お医者さんになりたい」「プロ野球選手になりたい」といった願望に基づいて職業を考えます。
② 試行期 (Tentative Period)
11歳~17歳頃
より現実的に職業を考え始め、興味、能力、価値観といった自己理解を深めていく段階です。
興味 (Interest)
自分の好きなこと、関心のあることに基づいて職業を考えます。
能力 (Capacity)
自分の得意・不得意を認識し、能力を試し始めます。
価値観 (Value)
仕事に何を求めるか(社会的評価、報酬など)を考え始めます。
移行 (Transition)
現実的な制約を認識し、次の「現実期」への準備をします。
③ 現実期 (Realistic Period)
17歳以降
自己の内的要因(興味・能力・価値観)と外的要因(社会の需要など)を統合していく段階です。
探索 (Exploration)
特定の職業分野に絞り、深く情報を集め経験を積みます。
結晶化 (Crystallization)
情報や経験をもとに、進むべき方向性を固めます。
明確化 (Specification)
具体的な職業や専門分野を最終的に決定します。



3つの発達段階があるんだね
変更された3つの命題



ギンズバーグ先生について、試験で頻出のキーワードの1つ。3つの命題は研究をすすめる中で修正されたよ。
ギンズバーグは20年以上にわたる追跡研究の結果、初期理論が現代社会の実情と合わない部分があることを認め、以下の3つの点で理論を修正しました。ここが最も重要な変更点です。



どこがどう修正されたのか覚えておこう!
命題 | 1951年の初期理論 | 1972年の修正理論(変更点) |
---|---|---|
① プロセスの期間 | 職業選択は、青年期後期から成人前期に完了するプロセスである。 | 職業選択は、成人前期で終わるのではなく、生涯にわたるプロセスである。成人後も、仕事やライフイベントの変化に応じて意思決定は続く。 |
② 選択の本質 | 職業選択は、個人の理想と現実的制約との間の「妥協(Compromise)」のプロセスである。 | 職業選択は「妥協」ではなく「最適化(Optimization)」のプロセスである。個人と環境の要因を継続的に吟味し、満足度を最大化しようとする、より積極的なプロセスと捉え直した。 |
③ プロセスの可逆性 | 職業選択は、基本的に後戻りできない「非可逆的(Irreversible)」なプロセスである。 | 職業選択は「可逆的(Reversible)」である。初期の選択が後のキャリアに影響は与えるものの、教育や転職によってキャリアの方向転換は可能であるとした。 |
1972年の修正理論:3つの命題
ギンズバーグは20年以上にわたる追跡研究の結果、初期理論を修正しました。下のタブをクリックして、変更点を確認してみましょう。
1951年:完了するプロセス
職業選択は、青年期後期から成人前期に完了するプロセスである。
1972年:生涯にわたるプロセス
職業選択は、成人前期で終わるのではなく、生涯にわたるプロセスである。成人後も、仕事やライフイベントの変化に応じて意思決定は続く。
1951年:妥協
職業選択は、個人の理想と現実的制約との間の「妥協(Compromise)」のプロセスである。
1972年:最適化
職業選択は「妥協」ではなく「最適化(Optimization)」のプロセスである。個人と環境の要因を継続的に吟味し、満足度を最大化しようとする、より積極的なプロセスと捉え直した。
1951年:非可逆的
職業選択は、基本的に後戻りできない「非可逆的(Irreversible)」なプロセスである。
1972年:可逆的
職業選択は「可逆的(Reversible)」である。初期の選択が後のキャリアに影響は与えるものの、教育や転職によってキャリアの方向転換は可能であるとした。
まとめ+復習問題
ギンズバーグの理論の変遷は、キャリア観の変化そのものを表しています。
- 初期理論(1951年)は、職業選択を「青年期に完了する、後戻りできない、妥協のプロセス」と捉えました。
- 修正理論(1972年)は、それを「生涯にわたる、方向転換も可能な、最適化のプロセス」へと発展させました。
この修正により、ギンズバーグの理論は、変化の激しい現代社会において、個人が柔軟にキャリアを形成していく様子をより的確に説明できる、実践的な理論へと進化しました。



キャリアは一度決めたら終わりではなく、生涯を通じて見直し、より良い方向へと最適化していくものだという考え方は、現代のキャリアカウンセリングの基本的な思想となっています。



現代にもマッチする考えに発展しているね。覚えたよ!最後に復習問題にチャレンジ!
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