チャチャ国家資格キャリアコンサルタント試験の再頻出の理論家はだーれだ。



それはスーパー先生だね
キャリアコンサルタント試験再頻出の理論家スーパー先生。たくさんの理論を発表しています。
まずはスーパー先生の理論をサクッと理解し、問題演習で力をつけていきましょう。
・特性因子理論と自己概念理論を統合
・職業的適合性
・ライフロール
・ライフ・キャリア・レインボー
・ライフステージ
・アーチモデル
・14の命題
キャリア界のスーパーヒーロー ドナルド・スーパー


ドナルド・スーパー(1910~1994)は、一言でいうと「『仕事だけが人生じゃない!』を70年以上も前に見抜いていた、時代の先を行く理論家」です。
多くの人が「キャリア=仕事」と考えていた時代に、「いやいや、人の一生は仕事だけじゃないでしょ!趣味や家庭、学びも全部ひっくるめてその人のキャリアなんだよ」と提唱しました。まさに、現代のワークライフバランスの考え方を先取りしていた人物なのです。
インフォグラフィック学習版
ドナルド・E・スーパーのキャリア理論
スーパー理論の核心
キャリアとは、生涯を通じて発達・変化していくものであり、仕事だけでなく、人生における様々な役割(ロール)の組み合わせである。
キャリアの核となる「自己概念」
職業選択とは「自分らしさを表現するプロセス」であるという、スーパー理論の心臓部です。
自己概念(セルフ・コンセプト)とは?
「自分はどんな人間か」「何に価値を置き、何が得意か」といった、自分自身に対するイメージのことです。スーパーは、人々は自己概念を実現するのにふさわしい職業を選択すると考えました。
例:
自己概念: 「自分はコツコツと探求するのが好きな人間だ」
→
職業選択: 「研究職に就いて、その自分らしさを発揮しよう」
人生の地図「キャリア発達段階」
人のキャリアは生涯をかけて5つの段階で発達します。グラフをクリックして各段階の詳細を確認しましょう。
上のグラフの段階を選択してください
キャリアは仕事だけじゃない「ライフ・キャリア・レインボー」
人生で演じる様々な役割(ライフロール)の組み合わせがキャリアです。役割を選んで重要度の変化を見てみましょう。
変化の時代を生き抜く力「キャリア・アダプタビリティ」
変化に対応し、自律的にキャリアを築く能力「4つのC」。カードをクリックして詳細を開きます。
① 関心 (Concern)
未来のキャリアについて関心を持ち、計画しようとする意識。
未来志向・計画性
② 統制 (Control)
自分のキャリアは自分でコントロールできるという感覚。
自己決定・責任感
③ 好奇心 (Curiosity)
新しいことや可能性について好奇心を持って探求しようとすること。
情報収集・探求心
④ 自信 (Confidence)
困難な課題に直面しても、自分なら乗り越えられると信じる力。
自己効力感・楽観性
キャリア理論をサクッと理解
スーパーの理論は非常に多岐にわたりますが、たった一つ、中心となる考え方があります。それは、
「キャリアとは、生涯を通じて自己概念(自分とは何者か)を探求し、表現していくプロセスである」
というものです。 これから学ぶ「ライフステージ」や「ライフキャリアレインボー」などの概念は、すべてこの「自己概念」という心臓部を説明するためのパーツだと考えてください。
講義の前に:ドナルド・スーパーってどんな人?
ドナルド・スーパー(1910-1994)は、キャリア発達理論の分野で最も影響力のある研究者の一人です。彼の理論がなぜ多くの人に受け入れられているのか、その人柄から見ていきましょう。
- 「心ある理論家」: スーパーの理論は、人の生涯を温かいまなざしで捉えていることから「心ある理論(Theory with a heart)」と呼ばれます。これは、彼が個人の多様な生き方や感情を尊重し、単なるデータではなく、一人ひとりの「物語」を大切にしたからです。
- 父の影響: 彼の父親もキャリア指導の専門家でした。幼い頃からキャリアというテーマが身近にあり、それが彼の生涯の研究テーマへと繋がりました。
- 自らの理論を体現: スーパーは自身の理論を更新し続け、70歳を超えても精力的に活動しました。まさに彼自身が「キャリアは生涯発達する」という自らの理論を体現していたと言えます。
- カウンセラーとしての視点: 彼は研究者であると同時に、優れたカウンセラーでもありました。机上の空論ではなく、常に現場のクライエントと向き合う視点を持っていたことが、彼の理論に深みと実用性を与えています。
このような彼の人間性が、人の一生という複雑なものを、ライフキャリアレインボーのような美しく、分かりやすいモデルで表現させたのかもしれません。では、各パーツを詳しく見ていきましょう。
1. キャリア自己概念(Vocational Self-Concept)
これが理論の核です。試験でも最も重要視されます。
スーパーの「キャリア自己概念」ってなんだろう?
キャリアについて研究したドナルド・スーパー(Donald E. Super)さんという人が提唱した、とても有名な考え方です。
一言でいうと、**「人は『自分ってこういう人間だ』というイメージ(自己概念)に合った仕事を選ぼうとする」**という考え方です。
なんだか少し難しく聞こえるかもしれませんが、分解してみると、とても自然なことなんですよ。
1. まず「自己概念」を理解しよう
「自己概念」というのは、自分自身に対するイメージのことです。「私は誰か?」という問いに対する、自分なりの答えのようなものです。
例えば、
- 「私は、人と話すのが好きな、明るい性格だ」
- 「私は、コツコツと何かを作るのが得意なタイプだ」
- 「私は、困っている人を助けることに価値を感じる人間だ」
このように、自分の性格、興味、価値観、得意なことなどを組み合わせて、私たちは無意識のうちに「自分像」を持っています。これを**「自己概念(セルフ・コンセプト)」**と呼びます。
2. 「キャリア自己概念」は、仕事における自分像
そして、この「自己概念」を仕事の世界に当てはめたものが**「キャリア自己概念」**です。
- 「人と話すのが好きな私(自己概念)は、営業や接客の仕事が向いているかもしれない」
- 「コツコツ作るのが得意な私(自己概念)は、プログラマーや職人が合っているかもしれない」
このように、自分のイメージに合う仕事を見つけることで、仕事を通じて「自分らしさ」を表現したい、と考えるのがキャリア自己概念の核心です。
スーパーさんは、職業選択とは、自分という人間を表現するプロセスだと考えたのです。
3. 自己概念は「成長」していくもの
スーパーさんの理論が優しいのは、**「自己概念は一生かけて変化し、成長していくものだ」**と考えている点です。
私たちは、子供の頃から大人になるまで、ずっと同じではありませんよね。
- 成長段階(〜14歳頃)
- 「大きくなったら野球選手になりたい!」といった夢を見る時期。自分の「好き」という気持ちが芽生え始めます。
- 探索段階(15〜24歳頃)
- 学生時代の部活動やアルバイト、初めての就職などを通して、「これは好きだけど、これは苦手かも」「こういう仕事は自分に合うかな?」と、色々と試しながら自分を探す時期です。キャリア自己概念が具体的に形作られていきます。
- 確立段階(25〜44歳頃)
- 自分に合った分野を見つけ、そこで専門性を高めてキャリアを安定させようとする時期。「〇〇のプロフェッショナル」としての自分像を確立していきます。
- 維持段階(45〜64歳頃)
- 築き上げてきたキャリアや地位を維持していく時期です。
- 解放段階(65歳〜)
- 仕事から引退し、仕事以外の役割(趣味や地域活動など)に時間を使うようになる時期です。
このように、人生のステージごとに自己概念は成熟していきます。だから、若い頃に「これが天職だ!」と思っても、年齢を重ねて興味や価値観が変わり、違う仕事に魅力を感じるのは、ごく自然なことなのです。ント】 キャリアコンサルタントの役割は、クライエントが自分自身の「自己概念」に気づき、それを言語化し、具体的な職業へと「翻訳・実現」するのを支援することです。この視点を忘れないでください。
2. ライフステージ(Life Stages)
スーパーは、人の一生をキャリア発達の観点から5つのステージに分けました。これをマキシ・サイクルと呼びます。
| ステージ | 年齢(目安) | 主要な発達課題 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 1. 成長段階 (Growth) | 0~14歳 | 自己概念の形成。空想や興味を通じて仕事の世界を知る。 | 「お医者さんになりたい」「ゲームを作る人になりたい」と夢見る。 |
| 2. 探索段階 (Exploration) | 15~24歳 | 職業の可能性を試し、暫定的な職業選択をする。 | アルバイト、インターンシップ、学校での専攻選択などを通じて自己理解を深める。 |
| 3. 確立段階 (Establishment) | 25~44歳 | 特定の職業分野で地位を確立し、安定させようと努力する。 | 就職した会社でスキルを磨き、昇進を目指す。専門性を高める。 |
| 4. 維持段階 (Maintenance) | 45~64歳 | 築き上げた地位や専門性を維持し、後進の指導なども行う。 | ベテランとして職場での地位を保つ。新しい技術を学び直し、変化に対応する。 |
| 5. 解放段階 (Disengagement) | 65歳~ | 仕事からの引退。新しい役割や活動を見つける。 | 定年退職し、趣味や地域活動、ボランティアなどに時間を費やす。 |
【試験のポイント】
- ミニ・サイクル: キャリアチェンジ(転職や異動)が起きた時、人はこの5段階を短いサイクルで再び経験するとされています。例えば、40歳で会社員から農家に転職した場合、農家としての「探索」→「確立」→「維持」を新たに経験します。このミニ・サイクルの概念は非常によく出題されます。
- 年齢はあくまで目安であり、個人差があることを理解しておくことが重要です。
3. ライフキャリアレインボー(Life-Career Rainbow)
スーパーの理論を視覚的に最も美しく表現したモデルです。人の生涯(ライフスパン)と、その時々で担う役割(ライフスペース)を虹に例えています。
2つの次元
- ライフスパン(Life Span)- 横軸
- 人生の時間を表し、「成長」から「解放」までのライフステージを示します。人生という舞台の時間軸です。
- ライフスペース(Life Space)- 縦軸(虹の太さ)
- 人が同時に演じている様々な**役割(ロール)**を示します。人生という舞台で演じる役柄です。役割が大きければ、その虹の帯は太くなります。
主要なライフロール
スーパーは主に以下の役割を挙げました。
- 子ども: 親との関係における役割。
- 学生: 学ぶ役割。
- 余暇を楽しむ人 (Leisurite): 趣味や娯楽を楽しむ役割。
- 市民 (Citizen): 地域社会やボランティアなどに関わる役割。
- 労働者 (Worker): 職業人としての役割。
- 配偶者: パートナーとの関係における役割。
- 家庭人 (Homemaker): 家庭を維持する役割。
- 親 (Parent): 子を育てる役割。
【試験のポイント】
- キャリアは「職業」だけではない: スーパーは、これらの役割(ロール)すべてを統合したものがその人の「キャリア」であると考えました。これをキャリアの多元性と呼びます。
- 役割の相互作用: ある役割(例:親)に多くの時間とエネルギーを注ぐと、別の役割(例:労働者)の時間は減る、というように役割同士は影響し合います。キャリア相談では、クライエントが「労働者」としての役割だけでなく、他の役割とのバランスに悩んでいるケースが非常に多いです。このレインボーの視点は、クライエントの悩みを多角的に理解するために不可欠です。
4. アーチモデル(Archway Model)
ライフキャリアレインボーで描かれたキャリアが、「何によって」形作られるのかを説明したモデルです。自己概念を支える要因を図式化しています。
建物のアーチを想像してください。
- 左の柱:個人の要因(内的要因)
- その人自身の内側にあるものです。
- ニーズ(欲求)、価値観、興味、知性、適性などが含まれます。
- これらの個人的要因は、ご指摘の通り「諸能力」と「パーソナリティ」に分けて考えると、より理解が深まります。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 諸能力 (Abilities) | 知性、学力、特殊能力・適性、スキル、学習能力 |
| パーソナリティ (Personality) | 価値観、興味、ニーズ(欲求)、性格 |
- 右の柱:社会の要因(外的要因)
- その人を取り巻く環境です。
- 家庭、地域社会、学校、経済状況、労働市場などが含まれます。
- アーチの頂点にある要石(キーストーン)
- 両方の柱を繋ぎ、支えているのが**「自己(Self)」**です。
- 個人は、内的要因と外的要因の両方から影響を受けながら意思決定を行い、自己概念を発達させていきます。
- アーチ全体
- 両方の柱に支えられながら、ライフステージを上っていく個人のキャリア発達を表しています。
【試験のポイント】 アーチモデルは、キャリアが個人の内的要因だけで決まるのではなく、環境という外的要因との相互作用の中で発達していくことを示しています。キャリアコンサルタントは、クライエントの興味や適性(左の柱)だけでなく、家庭環境や経済状況(右の柱)も考慮して支援する必要がある、という根拠になります。
5. 職業適合性(Person-Environment Fit)
スーパーは、従来の「個人と職業をマッチングさせる」という単純な考え方(パーソンズの特性因子理論など)に、発達的な視点を加えました。
スーパーが整理した職業適合性の3つのタイプ
- 差異心理学モデル (Differential Psychology)
- いわゆる古典的な「マッチング」です。個人の特性(興味、能力)を測定し、それに最も合う職業を見つけます。
- 例:「あなたは事務能力が高いので、経理の仕事が向いています」
- 発達心理学モデル (Developmental Psychology)
- スーパーが最も重視したモデルです。キャリアは変化・発達するものであり、その時々の自己概念に合った職業を選択していく、と考えます。
- 例:「今は人と接する仕事で自己実現したいと考えているのですね。では営業職を検討しましょう。5年後、もし違う自己イメージになったら、またその時に合う仕事を探せばいいのです」
- 現象学モデル (Phenomenology)
- 客観的な事実よりも、**個人が自分のキャリアや世界を「どう主観的に認識しているか」**を重視します。ナラティブアプローチなどに繋がる考え方です。
- 例:「あなたが『この仕事はつまらない』と感じているその気持ちが重要です。なぜそう感じるのか、一緒に物語を語るように考えていきましょう」
スーパーについて復習問題
【試験対策】スーパーの理論
オリジナル練習問題
スーパーのキャリア理論に関する理解度を確認するためのオリジナルクイズです。全3問、準備ができたら始めましょう。
問 1 / 3
クイズ結果
3問中2問正解
まとめ


スーパーの理論は、「変わり続ける”私”(自己概念)が、人生の様々な舞台(ライフステージ)で、色々な役(ライフロール)を演じながら、”私”らしい生き方(キャリア)を表現していく物語」と要約できます。
この全体像を掴んでおけば、試験でどの角度から問われても、自信を持って解答できるはずです。頑張ってください!





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