要点をおさえよう!
キャリア・インサイト専門講座:試験対策要点整理
以下のセクションを展開して、効率的に学習を進めてください。
はじめに:キャリア・アセスメントにおけるキャリア・インサイトの位置づけ
キャリア・インサイトは、単なる適性検査ではなく、**JILPT(労働政策研究・研修機構)**が開発したCACGs(コンピュータ支援キャリアガイダンスシステム)です。
- **公共財としての性格:** 国の労働政策目標を支援する公共財であり、営利目的ではない。
- **根底の哲学:** 利用者が自己評価からキャリアプランニングまでの一連のプロセスを主体的に経験できるようエンパワーメントする。
第1章:基礎知識と対象者(ECコースとMCコース)
▼1.1. 誕生の経緯と目的
- 定義: 従来の紙筆検査の課題を解決するための**包括的・統合的なシステム**。
- 重要な改訂: 2014年に若年者向けとミッド・キャリア向けが一つにまとめられた**「統合版」**として改訂。
1.2. 対象者の詳細:ECコースとMCコース
EC (Early Career) コース
対象年齢: 18歳から34歳程度
(正規の職業経験がない、または比較的短い層)
MC (Mid-Career) コース
対象年齢: 35歳から69歳程度
(一定の職業経験を積んだミッド・キャリア層)
1.3. 購入と利用の条件
民間利用の場合、**指定された講習会の受講が義務**付けられています。
第2章:理論的枠組み(特性因子理論の結合)
▼キャリア・インサイトの理論的骨格は、**フランク・パーソンズ**の特性因子理論(Trait-Factor Theory)に立脚しています。システムはこの理論の3段階モデルを再現しています。
第1の柱:自己分析
システムの実装: 適性診断コーナー(4側面)
第2の柱:職業分析
システムの実装: 職業情報コーナー(約500職業)
第3の柱:賢明な推論
システムの実装: 総合評価コーナー(マッチング)とキャリアプランニングコーナー(行動計画)
第3章:システムの構造と評価の柱(4つの診断尺度)
▼評価の四本柱:試験対策のための詳細分析
1. 能力(アビリティ)
測定内容: **客観的な能力**ではなく、職務遂行能力に対する自己の「自信度」を評価する自己評定尺度。
2. 職業興味
測定内容: **ホランドのRIASECモデル**に準拠(R, I, A, S, E, C)。
3. 価値観
測定内容: 職業生活で重視するもの。「仕事重視、会社重視、環境重視」の3視点。
4. 行動特性
測定内容: 仕事の進め方や対人関係のスタイル。両極尺度(例:チームプレー vs 個人プレー)で示される。
第4章:比較分析(GATB, VPIとの違い)
▼GATBとの決定的な違い:「能力」の測定概念
CI: 自己認識による「自信度」(自己報告式)
GATB: テストによる「最大遂行能力」(最大能力検査)
→ この違いは、カウンセリングにおける**介入方針**(スキル不足 vs 自己効力感の低さ)を決定する上で重要。
主要アセスメントツールとの比較フレームワーク
| 特徴 | キャリア・インサイト | GATB | VPI |
|---|---|---|---|
| 主要測定概念 | 能力(自信)、興味、価値観、行動特性 | 9つの適性能 | 6つの興味領域 (RIASEC) |
| 測定タイプ | 自己報告式 | 最大能力検査 | 自己報告式 |
第5章:カウンセラーの実践における役割と倫理
▼5.1. 機械を超えて:カウンセラーの不可欠な役割
システムはあくまで情報提供と整理を行う**補助手段(対話の触媒)**であり、カウンセリングの主体は常にクライエントとカウンセラーの対話にあります。
5.2. 効果的なフィードバックの原則
- 結果を「確定的な診断」ではなく、「**探求すべき仮説**」として提示する。
- **実体験との接続**を促す。
- 矛盾点(興味高/自信低など)を**豊かな探求テーマ**として捉える。
5.3. 最も重要な倫理的配慮(誤用の回避)
重要: 従業員の選考やスクリーニングに用いてはなりません。
目的は、個人の発達を支援するキャリアガイダンスのみです。
結論:試験における最重要ポイントの最終確認
1. 開発元と目的
JILPT / 公共的CACGs。
2. 2つのコース
EC(~34歳)/ MC(35~69歳)。
3. 理論的背景
パーソンズ特性因子理論。
4. 4つの機能
診断、情報、評価、プランニング。
5. 4つの柱
能力(自信)、興味、価値観、行動特性。
6. GATBとの違い
CIは自信、GATBは最大遂行能力。

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